雨晴海岸にて-1

 富山湾越しに3000メートル級の山々を捉えることが出来る氷見線の雨晴海岸は、今日では、多くの人が知る絶景の一つでしょう。私にとって氷見線は20年近く昔、のと鉄道能登線廃止前に原色キハ58が急行能登路リバイバルとして走った時のついでに訪問した程度でした。まだ高岡の58は健在でしたが、塗色がねえ・・・・
 あれから20余年、58は消えたものの、魔改造ながらタラコ40の天下。さらに道の駅ほか撮影ポイントがあれこれ整備されたこともあり、純白の剱岳バックのタラちゃんを一度は仕留めたいものだと思っておりました。そんな中、家族運用ながら寛大にも雨晴を絡めることに許可をいただいたこの春、念願の機会がやって参りました。
 まずは、午後の雨晴。旅程の都合で15時頃に到着いたしました。早速、道の駅のバルコニーに駆けつけると、すでに7人ばかりの同好の士が構えておられます。晴天なるも肝心のアルプスは、猫又方面は見えるものの剣岳は雲の中。となりますと、剣バックは捨てて横位置で15時台の氷見行きを撮影。ここでほとんどの方がお帰りになりましたが、もう一本粘る許可をいただきましたので16時台を待ちます。するとなんということでしょう、雲がどんどん消えて剱岳が姿を現したじゃありませんか!レンズとカメラの組み合わせを変えて、念願の縦位置も追加します。そうこうするうちに通過時間が。いつものようにレリーズを握りしめ、その時を待ちます。やがてカーブの奥から顔を出したのは「はっとりくん」。ということで未履修科目の追加。やはり、真冬の移動性高気圧直撃の日を選ばないとだめだということに妙に納得した次第でありました。
IMG_2844amaharashi.jpg

2023年4月10日 氷見線 越中国府-雨晴

2023年桜紀行 その4 富士とともに-2

    朝一番に御殿場線で目標達成。さて次は?この近在で「フジヤマ、サクラ」となると天下の東海道本線のここを忘れてはいけません。富士川-新蒲原の跨線橋。ということで、「富士山が見えるうちに!」と急ぎ転戦です。
 さすが有名ポイント、複数の方がすでに構えておられましたがネタ物がないこともあり、まったりした雰囲気に包まれております。ご挨拶をして、三脚を立てて、カメラセットして定番構図を作るべくファインダーをのぞくと大問題が発覚。なんとまあ、かつてはなかったケーブルが敷設され列車のお顔にもろかぶり。なんとかライトにはかからないようにはしたもののこればかりはどうしようもありません。さらに、なんとなく腑に落ちないところが。よく考えると、桜にかつてほどの勢い・ボリュームが感じられないのです。満開を少し過ぎているのかもしれませんが、それ以外に太い枝が折れているなど桜(ソメイヨシノ)の老化も原因の一つかもしれません。
 日本の多くの桜は戦前・戦後から高度成長期にかけて植樹されたものですが、ソメイヨシノの一般的な寿命は60-70年、長くて100年とされ、そろそろ勢いよく花を咲かせるのが難しくなってきているのではないかと思います。クローンであるソメイヨシノ、開花も落花も同じ場所では同時というのが愛される理由の一つでしょうが、クローンゆえに老化も同時進行というのは何とも皮肉な話ですね。
 そんなことを考えながら、こちらも引退の日が刻々と近づく211系や東海道貨物輸送の盟主EF210などを短い時間で  「フジヤマ、サクラ」とともにとらえることができ当初目標は達成となりました。ただ、気温の上昇とともに富士山の周りに雲が発生しあっという間に富士山頂付近は雲の中に。本日の「フジヤマ、サクラ」撮影はここまでとこの場は撤収といたしました。
IMG_2289shinnkannbara.jpg
2023年4月 東海道本線 富士川-新蒲原

2023年桜紀行 その3 富士とともに-1

 やっぱり富士山ですよね!フジヤマ・サクラといえば日本の代表的風景。これを抜きにして「白く輝く山々との共演」は語ることは出来ないでしょう。 
 昨冬、御殿場線の富士岡-岩波間のポイントを訪問しました。アウトカーブ好きの私にはたまらない富士山バックのポイントです。ただ、あさぎり時代の写真はネットでも見かけますが、最近のものは見かけません。はてさてどうなっていることやら。
 訪問してびっくり、すっかり木々が成長してかつての画角では、ど真ん中に高い木がどーんと鎮座まします状況。なるほど最近写真を見かけないのも仕方ないことです。しかしです「禍福は糾(あざな)える縄の如し」。かつては小さかった民家の庭の桜が立派に成長しています。となると、構図を工夫すればフジヤマ・サクラを組み込むことも出来るかもと御殿場近辺の開花情報を「まだかいな まだかいな」と眺める日々でございました。
 満を持して「満開・晴天・黄砂無し・PM2.5ちょっとあり」というほぼ理想的な休日がやってきました。気温は午後には20度を超えるという予報ですから、午前の早い時間が勝負と早朝から出撃、現地では満開の桜と綺麗に冠雪した富士山が迎えてくれました。
 やがて朝日に輝く舞台に、211系が「どうだ!」といわんばかりに飛び込んできました。

我が庭の 一樹の花の 盛りかな 由紀 
IMG_2168iwanami211.jpg
2023年4月 御殿場線 富士岡-岩波



2023年桜紀行 その2 八ヶ岳とともに

 さてお次は八ヶ岳です。古くから長坂付近に八ヶ岳バックの超有名撮影地が複数ありますが、桜と絡ませえることができるのは長坂-日野春間かと思います。ということで、勝沼から移動です。八ヶ岳をバックにドーンと入れて桜もたっぷり入れてという素敵な構図がかつては可能だったようですが、いかに探し回ってもどうやら最近伸びてきた木によってそれは無理となったようです。八ヶ岳の冠雪は権現岳あたりに限られるし、桜は端に添えるだけで何ともインパクトがない構図にテンションはすっかり低下してしましましたが、何はともあれ定番構図で構えます。
 それにしても、主役であるべき353系のお顔に私はなじめません。昨今、鉄道車両のお顔が真っ黒けになってしまった事例が多いのですが、鉄道車両に求められる視認性という観点からいかがなものでしょうか。さらに353系のお顔から、1974年に京都近代美術館で開催されたデ・キリコ展で私をとてつもない不安と空虚さの中にたたき込んだ彼の代表的モチーフであるマネキンの頭が私は想起させられます。無機的・無表情・不安・空虚。やっぱりこいつは、サイドからの撮影が私には無難です。その点211系は末期とはいえ国鉄車両の息吹を残す私にとって安心感のあるお顔です。
IMG_1840 nagasaka 353
IMG_1783 nagasaka 211
 後になって考えれば、もっと立ち位置・構図の選択の余地はありましたし、昼過ぎには、八ヶ岳が雲の中に入り残念ながら不完全燃焼な八ヶ岳編と相成りましたが、一つだけ素敵なプレゼントがありました。
 通過予定のない時間に踏切が鳴り出し、やがて向こうにライトが2つ。ほどなくカーブの奥から顔を出したのは100%安心の国鉄顔の原色ロクヨン君じゃないですか! EF64 1031、長岡のカマの単回でした。新津からの新製配給や長野への廃回にご活躍のカマですが、長野からドナドナのお帰りのようです。まあ結果として出来上がった絵は、ロクヨン君春のお散歩って感じでしょうかね。
IMG_1730rokuyon2.jpg

2023年4月 中央本線 長坂-日野春

2023年桜紀行 その1 南アルプスとともに

 例年になく早く駆け抜けていく桜前線。すでに、ここ湘南あたりは散り初めから桜吹雪へとすすんでいます。何十年も鉄ちゃんをしていると桜の時期の変化がはっきりと感じられます。京阪神が4月1週目、北陸は2週目、そして長野などの高地では3-4週目というのが長年の肌感覚でしたが、今年は1-2週間早く進行しているようです。
 青空の下での桜撮影の成功のためには「満開」「晴天」「黄砂・PM2.5なし」「休日」を全て満たす必要があり、「1本の桜の木のために何年もかかった」というのはざらな話です。それに加えて、昨今戦後すぐに植えられた桜の高齢化問題も顕著です。まあ、これについてはこのシリーズのどこかで触れることにしましょう。
 ということで、河津桜に続く2023年の桜紀行の始まりです。今年は、難度の高い「白く輝く山々との共演」をテーマといたしました。最初のターゲットは「南アルプス」。場所は、中央線は勝山ぶどう郷駅付近です。駅付近は「甚六桜」として知られる桜の名所。現地に到着すると運良く「満開・晴天」と条件がそろいましたが、あらら残念、肝心の南アルプスは雲の中。しかし桜の美しさに納得して桜メインの画角を仕込んで211系や353系を迎え撃ちます。遠く甲府盆地は桃の花も満開でピンク色に染め上げられています。背中に受ける日差しは暖かく春爛漫。
 そうこうするうちに、何と南アルプスを覆っていた雲が下がって純白の山々が現れたじゃありませんか。急ぎ画角を変えてアルプスを配します。くっきりとはいえないものの盟主北岳を中心に南アルプス北部、甲斐駒ヶ岳から間ノ岳あたりまでを見渡すことが出来、幸先良い桜紀行のスタートとなりました。
IMG_1623jinnroku2.jpg
2023年4月 中央本線 勝山ぶどう郷-東山梨

プロフィール

Tomo

Author:Tomo
鉄路の四季を追い続けて幾年月。鉄路の主役は変わっても美しい四季のたたずまいを追い続けたいです。時には、大好きな音楽とお酒の話題も。

訪問者数

カレンダー

05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR