禾乃登(こくものすなわちみのる)夕暮れに

  さあ、最後はMSE10連のさがみ75号。この日最後の光を受けてのギラリを期待します。空に浮かぶ雲も徐々に朱に染まり始める中、露払いとしてやってきたのは1000系。夕日を反射してほんのり赤く染まる姿に胸が高鳴ります。
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2022年9月10日 小田急線 開成-栢山
 振り返れば富士山付近が日没ポイントになりそうですが、生憎そこにはドンと雲が。そして無情にもその雲に今朝からお世話になった太陽が吸い込まれていったのは、通過数分前のことでした。惰性でシャッターを切って「まあしゃあないねえ」とぼやきつつカメラを片付け三脚をたたみはじめます。その時、かの大巨匠のお言葉が脳裏に浮かびました。「人が三脚をたたんでからの時間が・・・」。
 太陽は沈んだもののまだ明るい時間。富士はシルエット。その富士のそばには刻々と黄金色から茜色に変わっていく雲が。こいつを今日最後の題材にいただきましょう。
 急ぎ踏切を渡って立ち位置を探します。望遠で富士と一緒に車両の先頭を切り取る感じでと頭の中でイメージを組み上げますが、あたりが闇につつまれるまでの時間はわずか。直感の露出とカメラの性能と今朝の厄落しを信じでシャッターを押し込みます。
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2022年9月10日 小田急線 開成-栢山
 やがて残照に輝く雲も闇に溶け込み、夜のしじまがゆっくりとあたりを包み込みはじめます。同時にどっと疲労感が。か細い虫の声の中、とぼとぼと農道を歩き踏切を渡りふと振り返るとそこには曽我丘陵から姿を現した中秋の名月が。
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夜とともに山の端いづる月影のこよひ見そむる心地こそすれ(清輔集)
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禾乃登(こくものすなわちみのる) その2

 15時を過ぎていよいよ光線は色気たっぷりに。このキラキラ感がほしくて、立ち位置を変えます。空と雲、きらめく稲田、重く垂れる稲穂と同じ立ち位置でもいろいろ撮ってみたくなり、あっという間に時間が過ぎていきます。
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2022年9月10日 小田急線 開成-栢山
 そしていよいよ本日の最終幕、日没の時間が近づいてきました。


禾乃登(こくものすなわちみのる) その1

 日本独自の季節表現として七十二候があり、9月の初めは「禾乃登(こくものすなわちみのる)」。お盆のころに出穂した稲が実を結び、稲穂の先が重く色づきはじめる時期とされています。そういう風景を期待してやってきたのはいつも通りの小田急線は開成-栢山。
 この日、早朝の天気予報では7時ごろからずらりと晴れマーク並んでいました。確かに小田原は晴れていますが、北の方を見ると丹沢山系に厚い雲がびっしり。それが、南にじわじわとせり出してきているようです。富水あたりが境目だったでしょうか、開成で下車すると太陽は雲の中。改めて天気予報を見ると、10時には晴れるとのこと。まあ、ここは慌てずじっくりと待ちましょう。時おり雲の隙間から日が差しますが、ロマンスカーや8000系の通過時に限って・・・・。そうこうするうちに10時からの晴れ予報が11時、12時、14時に、そしてなんと16時からとどんどん下方修正。「これって詐欺じゃない!」と憤っても仕方ありません。ここは、あくまでも朝の前かぶりでの厄落しを信じてひたすら待ちます。そしてようやく14時ごろになり青空に白い雲がポカリと浮かぶ、待ち望んだ光景が広がりました。
 午後の斜光線を受けて、黄金色に近づく稲田がキラキラ光ります。時折トンボが超高速で横切ります。まずは順光側で。
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次に低く構えて「禾乃登」のイメージを。いつもはカットする民家を入れて広い画角を取ってみました。
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2022年9月10日 小田急線 開成-栢山

やっぱり直流機は青!

 E257 5500番台もよかったですが、やはりこの日の貨物も報告しなくては。この日は、土曜日なので2059レ、5061レのカンガルーライナーと3075レのEF66貨物の3本をいただくことができました。まず2059レ。何とキティーちゃんコンテナが乗っておりこれまた初撮影。次なる3075レ通過時には、太陽が薄雲の中に入り露出1/3段落ちとちょっぴり残念な結果。最後に5061レが、いっぱいいっぱいの朝の光線を受けて登場。しかもカマはトップナンバーEF210 1号機。すでに青一色に白帯の新塗装となっているため編成は青色に統一され、コンテナの黄色いラインの引き締め効果と相まってその格好良さにホレボレします。「やっぱり直流機は青、交流機は赤じゃなきゃね」なんて納得するのは頭の中身が国鉄時代のままの高齢者のたわごとでしょうか。
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2022年9月10日 東海道本線 早川-根府川
 5061レの撮影が終わっても時刻はまだ8時過ぎ。1カ月ぶりの撮影をここで終える理由はありません。すぐに次のターゲットに向かって移動です。
 ところで、E257の根府川からの折り返しは見事なまでのE231の前かぶりでございました。これがこの日の厄落しになればよかったのですが・・・・

初撮影 E257 5500番台

 しばらく更新を怠り申し訳ございませんでした。あっという間に9月に入り秋の撮影シーズンとなりましたが、その一発目はE257 5500番台です。
 185系の後継として投入されたE257、どうも私にはあの配色と塗装パターンが気に入りません。ということですっかり伊豆急線から足が遠のき東海道線も貨物狙いで時々となっておりました。そういうE257ですが、波動輸送用の5000・5500番台は、初めて見かけたときからすっかりお気に入り。いつか撮影してみたい(もちろんネフハヤなどの風光明媚なところで)とチャンスを狙っておりました。ようやくタイミングが合ったのが、先週末の「特急 小田原・甲斐国」。**情によると、朝の小田原送り込みに根府川まで往復してくれます。時刻を確認すると、丁度2059レと5061レのカンガルーライナーに挟まれ、EF66の3075レとほぼ同じ時間。これはこれはわずか1時間弱の間に大漁が見込まれるじゃないですか。ということで、いそいそと定番の石橋へ。
 ツクツクボウシが夏の名残を告げる中、だーれもいない定番撮影地に三脚を立てます。5500番台なので5両編成。さてどこで切るべきか。E231の普電であれこれ確認していつもより1スパン手前とします。この日は、2059レにキティーちゃんコンテナというおまけもあってずいぶん楽しむことが出来ました。
 やがて、トンネルから顔を出したE257 5500番台。緑が白地に映えて素敵です。「こいつが踊り子の塗色なら追っかけ回したのになあ。」と思いつつ、もう少し真剣に追っかけるといい宿題をいただいた気分となりました。
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2022年9月10日 東海道本線 早川-根府川

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Author:Tomo
鉄路の四季を追い続けて幾年月。鉄路の主役は変わっても美しい四季のたたずまいを追い続けたいです。時には、大好きな音楽とお酒の話題も。

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