夏の記憶(その7)夕焼け

 この日は朝一番に鳩原ループ俯瞰に登り、晩夏の深い緑に包まれたループ線をゆく雷鳥や日本海の撮影からスタート。さらに敦賀-新疋田-近江塩津のお気に入りの撮影ポイントを巡り午前中の撮影を終えた。午後からは鵜川大俯瞰に登り、黄金色に色づき始めた棚田が広がるダイナミックな風景を堪能。17時になり、棚田が陰に入り始めところで下山。さて、帰ろうかと空を見るとどうやら今日は美しく夕日に染まる予感。あわてて、安曇川橋梁をサイドから狙うポイントに移動。時間は18時過ぎ。18時30分頃の日没までの半時間弱がこの日の最後の勝負。完全にシルエットにならず、わずかに車体の色を残すように露出を調整。空全体が夕日に染まる中、金沢行きの雷鳥が通過していった。
 秋の気配が感じられる中、深緑の鳩原ループ、黄金色の鵜川大俯瞰そして夕焼けの安曇川橋梁と様々な色彩を楽しんだ思いで深い晩夏の一日だった。
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2009年8月23日 湖西線 安曇川-新旭

 ところで、ブログ「四季鉄路雑興」がスタートして1ヶ月となりました。29日には、めでたく訪問者100名のキリ番を迎えることができました。キリ番を踏まれた方、誠におめでとうございます。皆様方のこれまでのご閲覧に深く感謝するとともに、無事1ヶ月続けることができましたのでボチボチいろんな方に紹介しようかとも考えております。
 コロナ禍という環境下、しばらくは過去の撮影分での構成が多くなりますが、徐々に新作も登場させる予定です。また、鉄道写真に並んで大好きな音楽やお酒の話題も入れたいと思います。今後とも何卒よろしくお願いいたします。


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夏の記憶(その6)蝉時雨

 異常ともいえる雨続きのお盆が過ぎ、ようやく暑い暑い夏空が広がる毎日となりました。同時に蝉達のひと夏の命の主張である蝉時雨が戻ってきました。とはいえ、8月も末となり徐々にボリュームが落ちツクツクボウシの鳴き声も混じるようになり、確実に夏の終わりがやってきています。
 この日は、盛夏の烏山線を楽しもうと前日に宇都宮に入り、名物の餃子を生ビールとともに存分に楽しんで駅前に宿泊。翌朝の始発列車に乗り込み、まず大金-鴻野山間の水田脇に三脚を構えました。ちょうど稲穂が出そろった時期、半逆光の朝日を受けて朝露がキラキラ光る中、キハ40を撮影する上々のスタートとなりました。当日は、気温がとてつもなく上がりそうなので、次は木陰で涼みながら美しい稲田とともに撮影しようと烏山線の唯一の峠越え区間の滝-小塙間の小塙側に移動しました。
 峠のトンネルを抜けた列車は森を抜けて水田地帯に出てきます。森の入り口から奥を覗くとおあつらえ向きのS字カーブが森の中に伸びています。

蝉時雨が響きわたる森、木々の隙間から降り注ぐ光、S字に光る線路。
時が止まったかのような錯覚。

 やがてトンネルに入る合図のタイフォンが聞こえ我に返ります。しばらくして線路脇の草が揺れ出し、森の奥からひょいっとキハ40が顔を出しました。
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2013年8月10日 烏山線 滝-小塙

夏の記憶(その5)長い長い夏の一日

 紀勢本線は、紀伊半島をぐるりと一周していますが、新宮から西はJR西日本で電化区間(紀勢西線)、東はJR東海で非電化区間(紀勢東線)となっています。かつては、大阪から名古屋まで全区間を運転する特急もありました。今では列車運行形態がすっかり変わってしましましたが、沿線の風景の美しさは変わりません。
 さて、この日は「西も東も全力で楽しもう、反時計回りで紀伊半島一周!」と未明の大阪を出発し吹田ICから近畿道、阪和道、御坊湯浅道路、阪和道、42号線と車を走らせ早朝の紀伊田原に到着。荒々しい海岸線、太平洋、入道雲などの組み合わせで105系や283系オーシャンアローの撮影を楽しんだ後は、東に向かい新宮を超え「紀勢貨物」の撮影のためにJR東海区間へ。
 ここぞと狙いをつけた、阿田和の築堤は黄金色の稲穂に囲まれていました。空はすっきり晴れ渡り、白い雲がぽつぽついいあんばいに浮かんでいます。農道の端に三脚を立てローカル列車で画面を構成します。やがて、鈍いディーゼル機関の音とともに更新色DD51に引かれた貨物列車が登場しました。
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2011年8月17日 阿田和-紀伊井田
 
 時刻は、午前9時30分。まだまだ今日の撮影は始まったばかり!再度、紀勢西線へ戻り381系くろしおなどを湯川駅近くの入り江でたっぷり楽しんだ後、午後は紀勢東線に戻り鵜殿発の「紀勢貨物」に照準を合わせます。当日は熊野花火大会にあわせた臨時列車運転のため、貨物ダイヤが変更になり2回の撮影が可能でした。まず、静かな新鹿湾を背景に黄金色の稲穂を前景にして撮影。さらに紀伊長島まで移動して険しい荷坂峠越えに奮闘する姿を撮影し、この日の撮影を終了しました。時刻は18時前。42号線、紀勢道、伊勢道、新名神、名神とルートをとり、未明に通過した吹田ICに帰還。ぐるり紀伊半島一周の長い長い夏の一日が終了しました。
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2011年8月17日 新鹿-波田須


夏の記憶(その4)午後の渓谷

 そろそろ211系が入線らしいという話を聞いて、この日は上越線の115系がターゲット。天気予報ではカリカリの晴れのはずでしたが、早朝の棚下俯瞰に立った私たちの前には、ちょっと霞んだなんとも頼りない風景が広がっていました。その後、9時頃には比較的すっきりしてきたものの、肝心の朝の6連は課題として残りました。午後は大丈夫そうなので、気分を切り替えようと早めに沼田に出てネット検索で見つけた美味しそうなラーメン店で昼食。今思い出してもあの時のラーメンはおいしかったなあ。
 たっぷり休養を取って、午後は綾戸俯瞰へ。予想通り、すっきり晴れた夏空が広がっています。慎重に足場を選んで三脚を立てます。いつもながらこの場所は、渓谷、アンダートラス橋、緑の組み合わせが見事。時刻は13時前。トラス橋にきれい陽が当たっていますが、まだ太陽は高く全体的に平版な印象。とは言うもののまず13時台の115系を確保。14時台は107系。別に107系に恨みはありませんがここは、115系で押さえたいところです。徐々に太陽が低くなるにつれて、渓谷の奥が陰に入り立体感が出ていい感じになってきました。一方、トンネル側から徐々に影が伸びてきますので次の15時台の水上行きが限界となりそうです。セミの声が響き渡る渓谷をじっと見つめながらその時を待ちます。津久田発車時間からもう来るはず。レリーズを握り直したその時、115系がトンネルから飛び出してきました。
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2016年8月7日 上越線 津久田-岩本

夏の記憶(その3)入道雲

 今年のお盆週間は連日の雨。記憶にある限りこんな夏は生まれて初めてです。多くの災害をもたらしているこの大雨が収まり再び夏空を仰ぐ日が早くやってくることを祈るばかりです。ということで、本日のお題は「入道雲」
 この日は日の出前から湖西線での撮影。まずは、朝日に輝く湖面と伊吹山や白髭神社の鳥居や伝統漁法の魞(えり)などの組み合わせを楽しんだ後、鵜川近辺で出穂した棚田や深緑の山々に夏のイメージを重ねて撮影しました。やがて光線も硬くなってきたので早めの昼食のために通いなれた白髭食堂へ向かいます。いつも通り「豚汁ラーメン+おでん」を楽しみ食堂を出ると青い空を背景にモクモクと入道雲が育っています。「これを取り込んでみたい」と選んだ次なる場所は志賀-蓬莱の定番築堤。
 現地につくと、青い湖面の向こうに純白の入道雲がずらりと並ぶ壮観な風景が展開していました。早速三脚を立て、入道雲を画面に配して列車を待ちますが、入道雲はひと時も同じ姿ではなくどんどん変化していきます。何本か撮影しましたが、列車が来た時にはもう画面をはみだしていたり、崩れてしまったりなかなか手ごわい対象です。さあ次こそはと、少し上に余裕を持たせて縦位置で画面を構成します。雲は上へ上へと成長を続けます。まもなく普通列車が通過のはず。一方、雲はモクモクと成長を続け「もう無理かな」とアングルを少し上に振ったその時、ファインダーに113系国鉄色が踊り出ました。
 素晴らしいこの瞬間を提供してくれたこの名撮影地は、今は線路沿いに防風壁が建てられたため過去のものとなってしまいました。しかし、沸き立つ純白の入道雲のダイナミックな姿と113系の組み合わせは、私の脳裏を永遠に離れることはありません。
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2012年8月17日 湖西線 志賀-蓬莱

夏の記憶(その2) 百日紅(さるすべり)

 夏の花と言えば、朝顔、ひまわり、ハイビスカス、ムクゲ、ノウゼンカズラ、ダリア、百日紅など思い出します。中でも百日紅は花期が長く、夏を通して暑い暑い季節に彩りを添えてくれます。
 東海道本線の撮影名所である米神。ここは、桜や紫陽花が有名ですが、夏になると線路際の百日紅が赤い花を咲かせます。この百日紅をからめて踊り子をと考えていたのが2018年の夏。お盆明け、9月に入っても大丈夫とたかをくくっていたらお知り合いから「バッサリ剪定されてしまったよ!」。ということで翌年に課題持ち越しとなりました。
 翌2019年。確かにきれいに剪定され昨年までのように花のボリュームが出にくくなっており、少しでも花が多くなるようにと9月初旬まで待っての撮影となりました。上りの踊り子でサイドに日が当たるのは、土休運転の102号のみ。残暑なお厳しい一方、ツクツクボウシが夏の終わりを告げる中、赤い百日紅に迎えられるように踊り子がやってきました。あれから2年、きっと今年も百日紅は咲いているでしょうが、185系はそこにはやってきません。
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2019年9月7日 東海道本線 根府川-早川

夏の記憶(その1) 海水浴場

 しばらく「夏の記憶」と称して、過去の8月撮影分を振りかえらせていただきます。第一回は「海水浴場」です。
 夏と言えば海。ところが今年はお盆休みに入った途端、台風の連続接近。加えてコロナ禍もあり海水浴場の賑わいは遠い昔のように感じられます。
 海水浴場と言えば、5年前の笠島を思い出します。海水浴場と赤い鳥居のある岩礁の見えるポイントに三脚を立てて列車を待っていると、小学生の団体でしょうか、賑やかにやってきた子供たちが泳いだり磯遊びしたり、静かな海辺が一気に生き生きとしてきました。ところで防波堤の先の岩礁には海に面して鳥居が4基立っています。これは「弁天岩」といって、豊漁と海の安全を祈り、海難者の霊を鎮める信仰の場で、鳥居の奥には祠があるそうです。
  やがて子供たちの歓声の中、EF510牽引の貨物列車が通過していきました。
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2016年8月6日 信越本線 米山-笠島

グリーンカーペットをゆくロマンスカー

 谷峨から開成に戻ると15時半。うまい具合にこれからロマンスカーがどんどんやってくる時間帯です。太陽も傾き、青田がきらめきイメージ通りの光景に思わずにんまり。お一人撮影されており、お聞きするとロマンスカーは定時で運行とのこと(ありがとうございました)。まずは、順光で新宿行きのGSE。このポイントは架線柱の間にポールが立っているのでちょっと窮屈ですが、颯爽とグリーンカーペットを行く姿に大満足です。次は、反対を向いてVSE。広角に構えると開成駅あたりの建物が目立たなくなります。ほんのり茜色に染まる白い車体、夕刻が近づく雲の表情が素敵です。最後は、少し位置を変えて本日最後の光線を浴びるEXEα。ここで太陽は完全に雲の中に。「さあ、撤収」と決めた途端、ここまでの疲労がどーんとやってきて、開成駅までの道のりが遠く感じたこと!とは言え、午前の課題が残ったものの御殿場線のおまけ付きで、もくろみ通りに撮影ができ満足な一日でした。さあ、次は黄金に輝く稲穂です!
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2021年8月1日 小田急小田原線 開成-栢山

青い淵

 さて、前回の続きです。時間は午前10時30分。いずこに転戦するか?昨年なら即断で東海道線、伊豆急線、はたまた駿豆線で185踊り子だったでしょうが、どうもE257という気分になりません。そこで思いついたのが、川音川でお会いした方に先日お教えいただいた御殿場線の魅力。ここは開成、新松田経由で御殿場線はすぐそばです。というわけで、御殿場線に決定。松田駅で沼津行きを待っているとどうやら午後からはロマンスカーは運転再開の見込み。御殿場線で撮影後もう一度開成に戻り夕方のロマンスカーを狙うことが可能です。脳裏に青田とともに夕日を浴びるロマンスカーの姿が浮かびます。青田以外の夏の風景も欲しいなということで、かねてより行ってみたかった渓谷狙いと即決。
 駿河小山で下車し、歩くこと30分余りで予定の場所に到着しました。水量は少ないものの青い淵が美しいこと。初訪問の場所ですが、丁度2両編成がうまく収まりすっかりお気に入りの場所となりました。今後、紅葉、新緑と四季の姿を記録していきたいですね。14時過ぎまで何本か撮影後、急ぎ今度は谷峨駅を目指します。とは言え酷暑の中の歩き鉄、谷峨に着いた頃はヘロヘロでしたが、もう一踏ん張りです。さて、午後の開成の成果やいかに。それは、次回のお楽しみとさせていただきます。
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2021年8月1日 御殿場線 駿河小山-谷峨

グリーンカーペット

 梅雨も明け、酷暑が続く日々ですが、ちょうどこの時期は水田がグリーンカーペットに。「さあ、美しい青田を配してロマンスカーを」と出かけました。天候は、見事な晴れ。またしばらく、お出かけを控えねばならない状況ですからまずは、手堅く午前中できっちりと課題解決とのもくろみです。
 ところが、小田原に到着するとなんと「人身事故でダイヤ混乱。ロマンスカーは運転見合わせ」とのこと。それでも「いずれ運転再開となるだろう」と定番の開成の水田に到着するとそこにはイメージ通りの光景が広がっていました。ところが、9時になっても10時になってもロマンスカーの運転は再開されません。新宿発の時間を考えると、午前中のロマンスカーはもう無理。こんな中、私にとっての今日の主役は8000系。青田、青空、夏雲とともにいい感じになりました。ただ、せっかく出かけたからにはここで終わるのは、あまりにもったいないので転戦を考えねばなりません。行き先は?それは次回のお楽しみ。
800系 青田
2021年8月1日 小田急小田原線 開成-栢山

プロフィール

Tomo

Author:Tomo
鉄路の四季を追い続けて幾年月。鉄路の主役は変わっても美しい四季のたたずまいを追い続けたいです。時には、大好きな音楽とお酒の話題も。

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