2023年桜紀行 その2 八ヶ岳とともに

 さてお次は八ヶ岳です。古くから長坂付近に八ヶ岳バックの超有名撮影地が複数ありますが、桜と絡ませえることができるのは長坂-日野春間かと思います。ということで、勝沼から移動です。八ヶ岳をバックにドーンと入れて桜もたっぷり入れてという素敵な構図がかつては可能だったようですが、いかに探し回ってもどうやら最近伸びてきた木によってそれは無理となったようです。八ヶ岳の冠雪は権現岳あたりに限られるし、桜は端に添えるだけで何ともインパクトがない構図にテンションはすっかり低下してしましましたが、何はともあれ定番構図で構えます。
 それにしても、主役であるべき353系のお顔に私はなじめません。昨今、鉄道車両のお顔が真っ黒けになってしまった事例が多いのですが、鉄道車両に求められる視認性という観点からいかがなものでしょうか。さらに353系のお顔から、1974年に京都近代美術館で開催されたデ・キリコ展で私をとてつもない不安と空虚さの中にたたき込んだ彼の代表的モチーフであるマネキンの頭が私は想起させられます。無機的・無表情・不安・空虚。やっぱりこいつは、サイドからの撮影が私には無難です。その点211系は末期とはいえ国鉄車両の息吹を残す私にとって安心感のあるお顔です。
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IMG_1783 nagasaka 211
 後になって考えれば、もっと立ち位置・構図の選択の余地はありましたし、昼過ぎには、八ヶ岳が雲の中に入り残念ながら不完全燃焼な八ヶ岳編と相成りましたが、一つだけ素敵なプレゼントがありました。
 通過予定のない時間に踏切が鳴り出し、やがて向こうにライトが2つ。ほどなくカーブの奥から顔を出したのは100%安心の国鉄顔の原色ロクヨン君じゃないですか! EF64 1031、長岡のカマの単回でした。新津からの新製配給や長野への廃回にご活躍のカマですが、長野からドナドナのお帰りのようです。まあ結果として出来上がった絵は、ロクヨン君春のお散歩って感じでしょうかね。
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2023年4月 中央本線 長坂-日野春

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2023年桜紀行 その1 南アルプスとともに

 例年になく早く駆け抜けていく桜前線。すでに、ここ湘南あたりは散り初めから桜吹雪へとすすんでいます。何十年も鉄ちゃんをしていると桜の時期の変化がはっきりと感じられます。京阪神が4月1週目、北陸は2週目、そして長野などの高地では3-4週目というのが長年の肌感覚でしたが、今年は1-2週間早く進行しているようです。
 青空の下での桜撮影の成功のためには「満開」「晴天」「黄砂・PM2.5なし」「休日」を全て満たす必要があり、「1本の桜の木のために何年もかかった」というのはざらな話です。それに加えて、昨今戦後すぐに植えられた桜の高齢化問題も顕著です。まあ、これについてはこのシリーズのどこかで触れることにしましょう。
 ということで、河津桜に続く2023年の桜紀行の始まりです。今年は、難度の高い「白く輝く山々との共演」をテーマといたしました。最初のターゲットは「南アルプス」。場所は、中央線は勝山ぶどう郷駅付近です。駅付近は「甚六桜」として知られる桜の名所。現地に到着すると運良く「満開・晴天」と条件がそろいましたが、あらら残念、肝心の南アルプスは雲の中。しかし桜の美しさに納得して桜メインの画角を仕込んで211系や353系を迎え撃ちます。遠く甲府盆地は桃の花も満開でピンク色に染め上げられています。背中に受ける日差しは暖かく春爛漫。
 そうこうするうちに、何と南アルプスを覆っていた雲が下がって純白の山々が現れたじゃありませんか。急ぎ画角を変えてアルプスを配します。くっきりとはいえないものの盟主北岳を中心に南アルプス北部、甲斐駒ヶ岳から間ノ岳あたりまでを見渡すことが出来、幸先良い桜紀行のスタートとなりました。
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2023年4月 中央本線 勝山ぶどう郷-東山梨

紅葉の四方津大呼戸橋梁 上段編(その2)

 次は、EH200牽引のタンカートレイン。全面紅葉の中、タキの緑が冴え渡ります。
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2022年11月 中央本線 四方津―梁川

 四方津から大地峠に至るこの道は、古来から利用されてきたのではないでしょうか。途中、古いお社の跡があったり道祖神が祀られたり、さらには信玄公の伝承が残ったりしています。麓からの行程は至って静かな山旅ではありますが、下の方からは時折、大呼戸橋梁を渡る列車の音も届き人の営みを感じることが出来ます。四方津という地名そのものも興味深いですね。かつて塩の生産地であったとか、「津」の文字にあるように、船着き場があったとか、いずれにしても古来より人の営みが盛んにあったのでしょう。

 山里に 散るもみぢ葉の くれなゐは ふむ人もなき ものにぞありける (新古今集 清輔)
 
 6回にわたりお届けした今年の中央東線の紅葉シリーズは、これにて終了とさせていただきます。やがて山眠る季節へ。そして季節が進み山笑う頃となれば再訪したいと思います。

紅葉の四方津大呼戸橋梁 上段編(その1)

 さあ、次は上段俯瞰です。約1時間の登山となります。まず、登山道入り口で小休止。登山靴の紐を締め直し、カメラ二台体制でずっしりと重くなったザックの紐を調整し、ゆっくりと歩み始めます。道は、大地峠に通じるよく整備された登山道で徐々に高度を上げていきます。歩みを進めるにつれ、サクサクと落ち葉を踏みしめる音と念のためにつけておいた熊鈴の音のハーモニーに五感が同調していきます。このハーモニーをバックに谷間を渡るわずかな風に舞い上がる紅葉が晩秋の調べを奏でていきます。
やがて、道の向こうの空が広がり始め最高地点が近づいた頃、全面紅葉の中にキラリと光る白い上り線のコンクリートアーチが忽然と姿を現します。残念ながら木々の成長によりかつてほどは自由な画角は得られなくなってしましましたが、俯瞰撮影ならではダイナミクスに心躍ります。
 早速、担ぎ上げてきた2本の望遠レンズを装備し縦横2台体制で待ち構えます。ダイヤから、おおよその時間を割り出し、レリーズを握りしめ、じっと彼方のコンクリートアーチを見つめます。突然音もなく現れ高速で駆け抜けていくE353。息を詰め、ここぞとばかりにレリーズを押し込みます。
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2022年11月 中央本線 四方津―梁川

紅葉の四方津 大呼戸橋梁(その3)

 でもやっぱり、ブルサンEH200!次は上りのタンカートレインで。お昼のこのスジの頃には、橋の左側の斜面が陰に入り始めますので縦位置で仕留めました。
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2022年11月 中央本線 四方津―梁川

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Author:Tomo
鉄路の四季を追い続けて幾年月。鉄路の主役は変わっても美しい四季のたたずまいを追い続けたいです。時には、大好きな音楽とお酒の話題も。

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